ボルトで作るリンク機構

ボルトで作るリンク機構

はじめに

本記事はKINKI KNIGHTS GWアドベントカレンダー6日目の記事です.
著者はレスコン機構担当のぱぁです.
レスコン出場にあたりリンク機構を用いたアームを製作した際の学びを記事にしています.

リンク機構をボルトで作りたい

ロボコンなどでよく製作される,画像のようなロボットのリンク機構を作る際によく軸加工を行いますが,軸数が多いと手間になります.
画像程度の小さなロボットアームの軸であればボルトでよいのでは?と思い,趣味工作でやっている方がいないか調べたのですが意外と記事がなかったので今回執筆しました.
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時間がない人向けまとめ

  • ”段付きボルト”で検索するとねじ部でない軸部分が存在するボルトが見つかる
  • ボルトに加えていい力の向きが名称によって異なるため注意が必要
  • 内径がm4以上のベアリングとセットで”支点用段付きボルト" or “ショルダーボルト”を選ぼう!

目次

  1. ボルトの選定
  2. ベアリングの選定

ボルトの選定

通常のボルトでもよいですが,ねじ部にスペーサーを取り付ける必要があったりと面倒です.
”段付きボルト”と検索するとリンク機構を製作するのに便利そうなボルトが出てきます.
ですが候補として

  • 段付きボルト
  • 支点用段付きボルト
  • ストリッパボルト
  • ショルダーボルト

の4つが混在していると思います.
下3つは全て段付きボルトに属するものですが,それぞれ特徴があるため解説していきます.
IMG_1646.jpg (2.1 MB)

全部見た目は同じ

そもそも段付きボルトとは

参考:misumi
ボルトを通した部品を可動させたい際に使われるボルトです.

支点用段付きボルト

参考:建設ITワールド
名前の通りリンク機構の支点として使いたい部分に使用する段付きボルトです.
リンク機構を作るのであればこちらの方がおすすめ.

ストリッパボルト・ショルダーボルト

参考:ストリッパボルトとショルダーボルトの違い
ボルトにもベアリングと同様に特異な負荷の方向が種類ごとに存在します.
ストリッパボルトは引張方向の負荷に強く,ショルダーボルトはせん断方向の負荷に強いです.
ラジアルベアリングとスラストベアリングの関係性と似ていますね.
ロボットアームなどの場合は基本的にショルダーボルトが向くと思います.

おまけ:半ねじ

ねじ部でない部分(首下)を使えばリンク機構にできそうですが,首下長さがおおよそ決まっているため設計の際にこの値に縛られることになります.
リンク機構用に作られていないからまぁ当たり前.

結論

リンク機構には支点用段付きボルトがいいのですが,負荷の方向を考えるとショルダーボルトが良いです.
支点用段付きボルトが恐らくせん断方向の負荷に強いショルダーボルトと同じ作りだと思うのですがどうなんでしょう…

ベアリングの選定

先ほど説明したボルトとベアリングを組み合わせてリンク機構を製作しますが,
通常のボルトと異なりm4から販売されていることが多いです.(探せばm3もなくはない,特にaliexpress)
理由はねじ部はm3になっているのですが軸部はねじ部より太くm4となっていることが多いです.
普段m3で設計されている方はご注意ください.

まとめ

  • ”段付きボルト”で検索するとねじ部でない軸部分が存在するボルトが見つかる
  • ボルトに加えていい力の向きが名称によって異なるため注意が必要
  • 内径がm4以上のベアリングとセットで”支点用段付きボルト” or “ショルダーボルト”を選ぼう!

以上となります.
軸加工するが面倒だなと感じている方は一度やってみてはいかがでしょうか.
明日は代表の”GWにやってみよう!たのしいこうさく”が公開されます! お楽しみに~


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