CoREアタッカー足回り解説

CoREアタッカー足回り解説

はじめに

本記事はKINKI KNIGHTS アドベントカレンダー2025 5日目の記事です。
著者はCoREアタッカー設計者のぱぁ(Twitter: @sin_one_third)です。
今回はCoREアタッカーといえば射出機構… ではなく、自分が担当した足回りにスポットを当てて解説していきたいと思います。
1m立方サイズのロボットの足回りを作りたいなぁ~、と考えている方の参考になりますと幸いです。

CADは帰省から帰った後に公開します… 実家のPCでは開けなかった…

CoREとは?

雑に一言で言うと、ロボット版FPSだと思います。
自分たちで製作したロボットで、カメラ越しにロボットを操縦し、弾を飛ばして相手のロボットを撃破する、というのが大まかなルールです。
公式から2,3分でルールが分かる解説動画が出ておりますので、そちらをご覧ください。

設計開始前

自分は設計要件を決めて指針を立て、要件に近い機体を参考に設計するタイプの人間なので今回の設計要件を先に書き出してみました。
特に初めて足回りを設計したので安定志向で考えていました、機構的に動かないロボットはただの置物なので。

足回り設計要件・指針

ざっくり、足回りを設計する際に考えていた設計要件と指針を書き出してみました。

  • 機体重量:30kg以下
  • 移動速度:別メンバーがモータを選定
    • 手動操縦を想定していたため、操縦性を重視
      • 初速を速く&最高速は遅く(高トルク低回転)選定
    • 足回りとしては高剛性・軽量・低重心で機体移動と射出が安定するように
  • 大会特有の条件:ダメージパネルの配置制限、貸与品の配置制限など
    • ダメージパネルの配置制限を元にフレームを設計する方針に
      • ダメージパネルを攻撃されにくい配置を考えながら設計
  • スタック対策:足回りがディスクに引っかかり移動できなくなる問題を想定
    • 足回りは車高の低いオムニを採用
      • 昨年度の大会映像を見ていると、大量に散らばったディスクに囲まれ動けなくなる様子が散見された
        • 車高をディスクの高さより低くすることで対策
          • サスでディスクを乗り越えるより車高を低くする方が合理的と判断
      • ビルダーが箱を移動させてまで高台に登って攻撃するメリットがない、と判断したため高台は登らない方針に
        • 高台開通より相手陣地に行くルートが増える坂開通の方がメリットが大きい、と判断
        • 中~遠距離機体と考えていたため自機体は相手陣地に切り込む予定はなし
          • 坂を除くと平面移動のみなためオムニホイールを採用
  • 射出機構:ディスクが大きいため大型になる想定
    • 足回り上部の空間を確保する&ダメージパネルの配置が邪魔にならないように&射出と合わせて制限重量を超えない
    • 相手より遠距離から攻撃する想定で射出の回転機構を考えていたため、これの邪魔にもならないように

これを満たす足回りを作ることになります、大変だ~

参考機体

自分が思いついたことは先人が考えたことがある、と思っているので参考になりそうな機体を探します。
自分の考え方は大体所属していたロボコンサークルの先輩の影響を受けているので、2020&2021の大阪大学Robohanの機体を参考にしました。

nhk-robocon2021-in-depth-analysis-01-osaka-03.jpg (87.1 kB)

学ロボ2021機体 複雑なのに

robohan2020.png (125.0 kB)

学ロボ2020機体 射出機構に目が行きがちだけど足回りはメチャ丁寧

学ロボは2機体で50kgの制限、かつ平面フィールドが多い多かったので軽量なオムニ機体の参考機体が多い印象です。
ダメージパネルの配置などは他CoRE出場チームの機体を参考にしました。

いざ、設計!

角管一つ一つを組み立てている動画を撮影したいな~と考えていたのですが、先輩の設計をちらちら見ながら作業していたので諦めました。
アクチュエータから配置しろ!、という方針で教わったため、モータを配置→下段フレーム→高さを出す→射出機構を配置するフレーム、という順に設計していました。

図5.png (577.4 kB)

下からどんどん出来上がっていくイメージ

ダメージパネルの配置

攻撃が当たりずらいダメージパネルの配置が出来ないかな~、という視点でルールを読んでいました。
パネル配置の制限が高さと互いのパネルが80°以上というものだけでしたので、下図の様に正面から見た際にハの字?クロス?になるように配置し、相手から正面の攻撃を受けづらいようにしました。

図2.png (537.0 kB)

関西春ロボに展示していた際に、思い付きで配置を図から変更しました。より正面のパネル二枚が離れています。

人間が正面から攻撃している動画です、正面からではダメージパネルに攻撃できません。
正面からの攻撃を受けない機体を作れたことに結構満足しています。

自分の機体にディスク投げるの楽しい

高剛性・軽量・低重心

足回りといえばこの三要素かな、と思いながら設計していました。
後は四輪で設置しなければならないため高剛性過ぎるとよくない、くらいの認識です。
先輩の機体を参考にしながら同一平面はガセットで繋ぎ、足回りの部分は1段になるように、射出機構を搭載する部分のみ2段となるように設計しました。
角管は12mm*12mm、ガセットは3mmで組み、一番たわみやすい機体中心部に50kgまで荷重をかけられた(はず)。

図3.png (324.2 kB)

縦の角管と一番長い角管にガセットを使わず直交にしたのはミスだったなぁ、と今思います

図6.png (45.2 kB)

ディスクでスタックしない車高にも調整

回転機構

射出の回転機構も設計したのでここでお披露目します。 中~遠距離から広角に攻撃する機体を考えていたため、機体を回転させるのではなく射出機構だけを回転させる予定でした。 CoREのルール的には不要な機構だったなぁ、と今思いますがカッコイイので動画を載せておきます。

図1.png (937.0 kB)

足回りの回転運動よりYaw軸の微調整が容易という判断で搭載していました

回転機構がリミットスイッチに当たり原点合わせしているこの動画だけで飯3杯食える、めちゃくちゃエッッ

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今回足回りで使用したアクチュエータ(RZ735)は全てマブチモータ様からご支援いただいております。
こちらのマブチのブラシレスモータ使ってみた!の記事でも紹介されている通り、今回の機体は大半がご支援いただいたアクチュエータで製作されています。

まとめ

以上がCoREアタッカー足回りの設計までの流れになります。
どういう考え方で、何を設計要件とし、何を設計の際に重視したか、という流れが誰かの参考になれば幸いです。
実際にはこの後に加工~組立があり一人でこなせる分量ではなかったため、近くに住むメンバーらに協力してもらい機体を完成させました、チームメンバーには誠に感謝です。 監督は毎週部屋を掃除しに来てくれてありがと~💛

明日はアタッカーに使用されている自作オムニの記事になります。
今回のオムニホイールはメンバーが自作しており、イベント等に持って行った際に製作方法を聞かれることが非常に多かったので楽しみにしています~

進捗祭りのGWはまだまだこれからだ!!


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